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FIA-F2のエントリーリストに思うこと

 

Racing Engineering

Photo: Zak Mauger/FIA Formula 2 (Racing Engineering)

先日、今シーズンのFIA-F2エントリーリストが更新されました ( FIA Formula 2 Championship’s 2018 Teams confirmed – Formula 2 )。シリーズ撤退と見られていたRussian Timeが一転残留となった一方で、シリーズ創設時から参戦してきたRacing Engineering (RE) がまさかの撤退。また新規参入が予定されていたFortecが参戦取り止めとなり、エントリーは昨年と同じ20台ということになりました。

 

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ARTの独壇場が続くか? 2017 GP3&F3.5プレビュー

最後にGP3およびFormula V8 3.5のプレビューと、その他の注目ドライバーなどを。

 

GP3:ARTの独壇場は変わらず

GP3では今シーズンもART Grand Prixが、George Russell(イギリス、昨年FIA F3 3位)、Jack Aitken(イギリス、同GP3 5位)、Anthoine Hubert(フランス、同FIA F3 8位)、そして福住仁嶺(同GP3 7位)という、反則というか、えげつないラインナップを揃えました。2010年のシリーズ創設から、8年間で5度目のドライバーズタイトルと、7度目(!)のチームタイトルは、既にこの時点で99.9%確実と言ってもいいでしょう。このシリーズに関しては、今シーズンもARTの独壇場ですね。

中でもタイトルの本命は、メルセデス・ジュニアに選ばれたGeorge Russell。昨年はPremaが支配するFIA F3において、新興Hitech GPからの参戦ながら、Premaの二人に次ぐ総合3位と大健闘を見せました。”FIA F3の中堅チームで活躍→ARTからGP3にステップアップ”、という流れは、昨年のチャンピオンCharles Leclercと同じルートですね。それにしてもイギリスからは次々と有望な若者が現れて羨ましい限りです。

George Russell (ART Grand Prix official)

Jack Aitkenは韓国とイギリスのハーフ。15年にFルノーEurocupとAlpsの2冠を達成。昨年はルーキーながら、経験に勝るチームメイトのJake Dennisと遜色ない走りでランキング5位を獲得。Fルノー上がりではトップの成績でした。最強ARTに移籍した今季は、チャンピオン以外は視界にないでしょう。

福住くんは昨年、初欧州な上に強力なチームメイトに囲まれながらもランキング7位と、1年目としては上々の成績でした。今年は1年の経験と、チーム残留のアドバンテージがある以上、チーム内最下位というわけには行きません。最低でも1勝、ランキング5位以内が及第点でしょうか(*開幕戦レース1で初優勝) 松下信治が今年でFIA F2ラストなのはほぼ確実なため、その後釜となれるかどうかがかかります。

 

GP3 その他の注目ドライバー

タイトルに関してはARTの4人以外に想像できないのですが、それ以外にも注目ドライバーを何人か。

Niko Kariはフィンランドの次代を担うと期待されている若手ドライバー。15年にSMP F4で21戦7勝表彰台19回と圧倒的な強さでチャンピオンを獲得し、レッドブルの育成プログラムに抜擢されましたが、昨年ステップアップしたFIA F3では、F4とのレベル差に順応できず総合10位と期待はずれの結果に終わりました。今季はGP3に転向し再起を期すシーズンとなります。

そんな成績にも関わらず、結果にシビアなレッドブルがサポートを継続するほどですから、その才能は高く買われているのでしょう。幸い所属するArden Internationalは、ドライバーズタイトルを2度獲得(12年ミッチ・エバンス、13年ダニール・クビアト)した、GP3ではARTに次ぐ強豪。昨年の経験を活かせれば、ARTの強力カルテットに割って入る可能性は十分にあります。

Niko Kari (nikokari.fi)

Jenzer MotorsportのArjun Maini(インド)とAlessio Lorandi(イタリア)は、いずれも昨シーズン途中にFIA F3からGP3にスイッチしたドライバー。特にMainiは転向早々から上位を走り、表彰台も獲得するなど、開幕2ラウンドを欠場しながらランキング10位に入る活躍でした。Jenzerへ残留し、今シーズンはトップ5も期待されます。また先日、ハースF1の開発ドライバーにも選ばれました。

開幕前最後のテストでトップタイムを記録したDorian Boccolacci(フランス)は、開幕1週間前になってようやくTridentと正式契約を交わしました。15年にFIA F3に参戦したものの不本意な成績に終わり、昨年はFルノー2.0に”ステップダウン”しましたが、Eurocupで2位、NECで3位を獲得。テストでの速さを見る限り、回り道は無駄ではなかったように見られます。Tridentは15年にLuca Ghiottoがランキング2位、昨年はAntonio Fuocoが同3位と2年連続でタイトル争いを演じており、Boccolacciもダークホースになるかもしれません。

日本をはじめF1ファンが気になるのは、ジャン・アレジの息子Giulianoくんでしょうが、彼はまだまだ経験不足。結果を出すにはもう少し時間がかかるでしょうね。

 

Formula V8 3.5は全く見どころなし

今シーズンのWorld Series Formula V8 3.5(長いのでWS3.5で統一w)に関しては、ハッキリ言って見るべきところは全くありません。

昨年エントリーが15台まで減少したものの、今季はWECとの提携によって、多少は盛り返すのでは?とも期待されたのですが、チャンピオンチームのArdenまでがまさかの撤退! 僅か12台という、なんとも寂しい光景となってしまいました。

量だけでなく質の面でも状況は深刻で、昨年はエントリーこそ少ないながらも、Tom Dillmann、Louis Deletraz、Mathieu Vaxiviereといったレベルの高いドライバーの参加によって、シリーズの質はなんとか保たれていたのですが、今シーズンは”ペイドライバーの巣窟”とでも呼べるような惨状を呈しています。

ラインナップを見れば明らかなように、名門Fortec Motorsportはメキシコマネーに、昨年Dillmannをドライバーズタイトルに導いたSMP Racing by AVFはロシアマネーに依存しています。本人には失礼ながらも、GP3では後方をウロウロしていたAlfonso Celis Jrが優勝できてしまうのが、現在のレベルを端的に表しています。開幕ラウンドで連勝したPietro Fittipaldiにしても、昨年は同じくルーキーのチームメイト、Deletrazに完敗していたドライバーですからね。

正直言って、現在は末期のAutoGPに近いように見えます。クルマは高性能でカッコイイ(個人的には現在のフォーミュラカーでいちばん好き)のに、なんとも勿体無い。

モータースポーツ全体を取り巻く環境の悪化もあり、WECのサポートイベントになったからと言って、そう簡単に再浮上は叶わないのも致し方ない部分もあります。まずはシリーズからLMP2やGTEプロ、あるいはWECでなくとも、ELMSへステップアップする実例・実績が必要でしょうね。それが増えることで、非現実的なF1より、現実的なGTやスポーツカーでプロを目指すドライバーを惹きつけられるようになるかと思います。

 

Fルノー&F4で注目のヤングドライバー

最後にFルノーやF4など、入門フォーミュラで個人的に注目しているドライバーを。

Fルノー2.0に参戦するレッドブル・ジュニアのRichard Verschoor (MP Motorsport) はロビン・フラインス、マックス・フェルスタッペンに続く、オランダ期待の若手ドライバー。昨年シングルシーターにデビューすると、SMPとスペインの各F4をまたいで15連勝という記録を作りました。もちろん台数の多寡もあるため、単純に数字で評価はできませんが、それでもなかなかできることではありません。オフシーズンに行われたToyota Racing Series (TRS) でも3位を獲得しており、レッドブルにとっても次代のF1候補生でしょう。

Richard Verschoor (RED BULL JUNIOR TEAM)

同じくFルノー参戦の中国人ドライバーYifei Yeは、昨年のフランスF4(日本のJAF-F4と同じく、独自規格のF4)で23戦14勝と圧倒的強さでチャンピオンを獲得しました。一方で並行して参戦したイタリアF4では未勝利に終わっており、なかなか評価が難しいところです。名門Josef Kaufmann Racingでカーナンバー1を背負う今シーズンのEurocupが、評価のバロメーターになるでしょう。

Marcus Armstrong(ニュージーランド)はカートで活躍後、昨シーズン終盤にFルノーで4輪デビュー。強豪ひしめくEurocupでいきなり表彰台を争い、一躍注目を集めました。フェラーリ・ドライバーアカデミーにもスカウトされ、TRSではランキング4位に。今シーズンはドイツのADAC F4に強豪Prema Powerteamからフル参戦します。ニュージーランドも小国ながら、近年次々と有望なドライバーを輩出しており、日本もその育成システムをもっと研究すべきではないでしょうか?

最後に今年シングルシーターにデビューしたVictor Martins(フランス) 体操選手から、13歳と比較的遅くにカートへ転向した変わり種ですが、それからたった3年でCIK-FIAの世界チャンピオンまで上り詰めた天才です。昨年フランスF4にスポット参戦し、いきなり表彰台を獲得。今年は同シリーズにフル参戦し、開幕2ラウンドで3勝4PPを挙げ、早くもランキングトップに立っています。このレベルでは、今年最も注目を集めるドライバーになるでしょう。既にF1チームもいくつかは目を付けているでしょうね。

Victor Martins wins WSK Final Cup at Adria (Kartcom)

 

ミッドシーズンレビュー(1):GP2

昨年のStoffel Vandoorne圧勝とは打って変わり、今シーズンのGP2は開幕前の予想通り、本命不在の大混戦となっています。

手前味噌ながら当方のプレビューでタイトル候補に推した二人、Sergey Sirotkin(ART)とPierre Gasly(Prema)が現在同ポイントでチャンピオンシップをリードしています。どちらもスタートは出遅れたものの、7月の4連戦、特に直近の2ラウンドで一気に勢いに乗ってきました。所属チームの体制を考えても、このままタイトル争いの軸になるのは間違いないでしょう。

その一方で、私が本命に挙げていたAlex Lynn(DAMS)はここまで2勝こそしているものの、バクー以降精彩を欠きランキング9位と低迷しています。先日のホッケンハイムでは復調しましたが、DAMSの成績自体も昨年から下降気味で、FEへの注力やGP3とのダブル参戦開始の影響があるのでしょうか?

ルーキーではAntonio Giovinazzi(Prema、FIA-F3 2位)がバクーで2連勝するなど現在ランキング4位、Oliver Rowland(MP、FR3.5チャンピオン)は未勝利ながらコンスタントに上位入賞を繰り返し、一時はランキングトップに立つなど(現在は5位)初年度から活躍しています。Luca Ghiotto(Trident、GP3 2位)もここ数戦、光る速さを見せており、いずれも来シーズンが楽しみな存在です。

チーム別に見ると、新規参入の名門Prema Racingが一時ドライバーズで1-2を形成するなど、初年度から遺憾無くその強さを発揮しています。ARTからチーフエンジニアを引き抜くなど、体制強化の効果がハッキリと出てますね。またRussian Time(RT)とRacing Engineering(RE)は今年も上位で高値安定しています。どれだけドライバーが変わっても毎年上位にいるというのは、それだけベースのチーム力が高いということでしょう。

一方、先述の通り名門DAMSが7位に低迷。同じくCarlinとArdenの英国勢も、ブービー&最下位という名門らしからぬ順位に落ち着いています。CarlinはGP3撤退に加えFIA-F3でも不振で、現状では米国での活動に主軸が置かれているのかもしれません。

日本注目の松下選手ですが、モナコのスプリントレースで優勝、FLも3回獲得してはいるのですが、現状では来年のF1昇格は99%無理でしょう。速さ自体は決してライバルに引けを取らないのですが、かと言って何か飛び抜けているわけでもなく、残念ですがたとえF1に行ってもペイドライバー扱い、バックマーカーで終わるのが関の山です。ホンダがどうしてもF1に乗せたいなら3年目の可能性もありますが、個人的にはF1昇格?のVandoorneと入れ替わりで、ダンデライオンからSF参戦というのが、順当のような気がしますね。

さて、タイトル争いは同点首位の二人から5位Rowlandまでが僅か14点差の大混戦です。12位の松下選手まで加えても差は50点程度なので、1ラウンドで最大48点獲得できることを考えると、1戦ごとに大幅に順位が入れ替わる可能性もあります。ただチーム力を考えるとMPのRowlandは少々厳しく、やはり地力のあるPremaとART、GaslyとSirotkinが中心になるでしょう。そこに安定のRTとREのドライバーたちやLynnが絡んでくる展開でしょうか。

2016 GP3プレビュー

今シーズンのGP3最大のトピックと言えば、初めて”完全”な新車が登場することでしょう。2013年にも一度新車は導入されましたが、10年型のモディファイ&エンジン出力を増加(約220→400馬力)させたものだったので、全くの新車は初めてとなります。ジュニアフォーミュラに精通するRoberto Chincheroさんのリポートによると、2年目のドライバーは昨年までのデータが全く役に立たないと言っているとのことで、新チームやルーキーにとっては最適なタイミングかもしれません。

またチーム面では初年度から参戦してきたCarlinとStatus GPが撤退し、新たにDAMSが加わりました。当初はVirtuosi UKも参加予定だったのですがエントリー取り消しとなり(予想通り?)、チーム数は過去最少の7チームとなりました。それに伴いオーガナイザーはエントリー減少を避けるため、これまで各チーム最大3台だったエントリーを4台まで拡大。ART、Trident、Koiranenがこれを適用し、結果24台と昨年とほぼ変わらない台数を確保しました。

ところで格式的にGP3と同格で競合するF3はこの辺の規制が緩く、Carlinのように6台も擁するチームもあれば、シングルエントリーのチームもあったりとこれまでは多様性があったのですが、昨今の経済事情の反映とFIAの曖昧な運営により、欧州シリーズではこちらも1チーム4台まで、僅か7チームのエントリーと、結果的にGP3と同じ形になりました。差別化要素が益々なくなったわけで、なんとも皮肉なものです。

シリーズは今年もARTが軸になるのは間違いないでしょう。過去6年間で5度のチームタイトル、3度のドライバーズタイトルという”常勝”チームは、今年もCharles Leclerc(昨年FIA-F3 4位、マカオGP2位)、Nyck de Vries(昨年FR3.5 3位)、Alexander Albon(昨年FIA-F3 7位)、そして福住仁嶺という、ルーキーとはいえ実績も将来性もある強力なラインナップを敷きました。初欧州の福住もテストではチームメイトと同等のタイムを記録するなど、昨年の松下信治同様、初年度から期待が持てます。

個人的に特に注目なのがCharles Leclercです。カート時代はマックス・フェルスタッペンのライバルであり、フェルスタッペンが一足飛びにF3→F1へと進んだ一方、彼はFルノー2.0でじっくり走り込み、昨年フェルスタッペンの後釜としてVan Amersfoortに加入しFIA F3に参戦。シーズン半ばまでチャンピオンシップをリードする活躍を見せました。残念ながら相性抜群だったエンジニアが家庭の事情でシーズン途中でチームを離脱してしまい、以降成績が下降しましたが、マカオでは見事に復活し”大ベテラン”Felix Rosenqvistに次ぐ2位を獲得。今年はFDA(Ferrari Driver Academy)にも加入しました。故ジュール・ビアンキの親友&後輩であり、マネージャーも同じニコラ・トッド。そしてFDA加入で故ビアンキが果たせなかったフェラーリ入りをこの先成し遂げるのではないかと、個人的に期待しています。

対抗馬は昨年のFIA-F3で最後の最後にLeclercをうっちゃって3位となったJake Dennisでしょうか。ArdenもARTほどではないにせよ、ドライバーズタイトルを2回獲得するなど、GP3では安定した成績を残しています。彼の実力も合わせると、今年もタイトル争いに絡んでくるのは間違いないでしょう。

昨年Luca Ghiottoが5勝5PP9FLと大ブレイクしたTridentは、2年目のAntonio Fuocoがエース。彼もFDA所属であり、新加入のLeclercには負けられないところですが、速いは速いもののムラがあってリザルトが安定しない傾向があるのが不安要素。案外Artur Janoszの方が上に来そうな気もします。

毎年勝利をあげているKoiranen GPですが、彼らは現在一チームとしての参加よりも、SMP F4とスペインF4の運営に注力しているような感じがします。ラインナップ的にも強力とは言い難く、厳しいシーズンになるかもしれません。

CamposのAlex Palouはダークホース。昨年は決勝で不運に見舞われることも多くランキングこそ10位だったものの、予選では常に上位に顔を出す速さを見せていました。最終戦では初優勝&FLも記録し上り調子にあります。チーム力次第でトップ5に入る力はあると思いますね。

Jenzerはかなり厳しいでしょう。いかんせん今年の7チームの中では規模が小さすぎます。優勝経験のある新加入のOscar Tunjoに期待でしょうか。

最後に新規参入の強豪DAMSですが、ルーキー3人(うちFルノー2.0上りが二人)というラインナップを見ても、今年は学習の1年と割り切っているのでは? 撤退したFR3.5でも1年目は学習し、2〜3年目に連続チャンピオンという結果を残しており、今年いきなりタイトル争いという青写真は描いてないと思います。それでも前述の通り、クルマが全く新しくなるため参入のタイミングとしては抜群。時に上位をかき乱し、1〜2勝しても不思議ではないでしょう。