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2017シーズンレビュー(3) GP3, F4ほか

 

George Russell and ART guys

George Russell (Photo:GP3 Series)

FIA F2同F3と続いて、最後はGP3とその他のシリーズをまとめて振り返ります。

 

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ランス・ストロールがF1で大成しないと思う理由

先日、オートスポーツWEBに ランス・ストロールを“ペイドライバー”と侮ってはならない]という記事が掲載されていました。タイトル通り、今年F1レースデビューするランス・ストロールを好意的に評価しているのですが、自分は正反対の見方をしているので、ここで少し記してみたいと思います。

 

自分中心のチーム

ストロールはカートからシングルシーターに転向してからの3年間、一貫してジュニア・フォーミュラの強豪Prema Powerteamに所属していました(スポット参戦を除く) しかもストロール加入と同時に大富豪の父ローレンスがチームを買収するという、巨大なオマケ付きです。

当然そんな大事な”お客さん”をチームが無下に扱えるはずはなく、どれだけ特別扱いを否定しようと、必ずどこかしら”忖度”が働き、ストロール中心に動くことになるのは明白です。しかもストロールくらいの速さがあれば尚更でしょう。

しかしこのような父親のチームで走る、いわば庇護下に置かれた状態は、F1のようなトップカテゴリーではデメリットにしかなりません。

同様のケースはネルソン・ピケJrが当てはまります。ピケJrはブラジル時代から欧州に渡って以降も、一貫して父の興したチームで走っていました。イギリスF3ではチャンピオンに輝き、GP2でもルイス・ハミルトンと激戦を繰り広げるなど、将来を有望視されましたが、環境が一変したF1ではアロンソに全く敵わずナンバー2止まり。そしてクラッシュゲートによってF1を追われました。彼がドライバーとして成熟し名声を得るようになるのは、その後父親の元を離れてからのことです。

これは必ずしも父親所有のチームに限った話ではなく、テルメックスの絶大なサポートを受けてきたセルジオ・ペレスや、フラビオ・ブリアトーレ&ルノーのバックアップを受けていたロマン・グロージャンも同様です。10代の若者が大きな後ろ盾を持ち、チームからも優遇されていると、自分を特別な存在と思い込み、自信過剰・天狗になりやすいものです。

実際、彼らは当時のチームメイトらからも、その傲慢な態度で”ひんしゅく”を買っていました(小林可夢偉のグロージャン嫌いは有名ですかね?) 漏れ伝わってくるコメントや態度から察するに、ストロールにも同樣の疑いは拭えません。

 

貪欲さの欠如

そんな環境や性格にも起因するのでしょうが、FIA F3での2年間を見る限り、上位グリッドからスタートすれば確かに速いのですが、いざ中団以降に埋もれると、途端にモチベーションを失う傾向があります。諦めが早いというか、ジュニア時代のハミルトンやマックス・フェルスタッペンのような、どんな位置でも一つでも上へ這い上がってやるといった貪欲さがあまり感じられないんですね。当然トップカテゴリーでは中団以下に埋もれることの方が多いわけで、この傾向はF1を戦うドライバーとしてはどうでしょう?

 

適応力の低さ

そしてもう一つ、ストロールは新しいクルマ&カテゴリーへの適応力が低いように見えます。

Florida Winter Series (Paddock Scout)

2014年に当時フェラーリのアカデミーに所属していた彼は、開幕前のオフシーズンに、フロリダ・ウインターシリーズ(フェラーリ主催の冬季短期シリーズ)でシングルシーターにデビューしたのですが、ゲスト参加していた同じく同大会が4輪デビューのフェルスタッペンが、FIA F3経験者などを相手に、優勝&PP&FLを何度も取る衝撃的なデビューだった一方で、ストロールは全く目立つことなく終わっていました(ノンチャンピオンシップでしたが、ランキング的には11人中8位、フェルスタッペンは3位) まぁ”怪物”フェルスタッペンと較べるのは酷というものでしょうが。。。。

また初代FIA-F4チャンピオンという肩書きを引っ提げて、FIA F3にステップアップした1年目には、序盤に何度も危険なクラッシュを引き起こして出場停止処分まで受けています。中盤以降、修正したのは流石ですがF1、特に大幅に速度の上がる今年のF1でも、同樣の事態を起こさないか心配ですね。

Stroll’s crash at Monza 2015 (Autoblog)

 

ストロール擁護派(?)は昨年、圧倒的強さでチャンピオンを獲得したことを挙げますが、これにも少し留意が必要です。

昨16年のFIA F3は、エントリーが15年の35台から20台に激減し、フィールド全体の競技レベルが低下しました。また15年のランキング上位のうち、経験豊富なチャンピオンのFelix Rosenqvistと2位のAntonio Giovinazziだけでなく、3位のJake Dennis、4位のCharles Leclerc、6位のAlexander Albonが、いずれもGP3へ転向したため、必然的に上位で唯一シリーズに残留した、前年5位ストロールのタイトル獲得は開幕前から確実視されていました。もし彼らがF3を継続していたら、全く違う展開になっていたことでしょう。

それでもチームメイトの3人を全く寄せ付けず圧勝したことは、素直に賞賛に値します。ただ自分中心に周りが動いてきたこれまでとは全く違う環境で、上手く自分自身をマネージメントできるのか? 後方スタートから思うように物事が運ばず、ストレスが蓄積して危険なクラッシュを繰り返す………そんな展開も否定はできません。

 

 

プロとしては合格。F1では??

私はストロールは少なくとも数年は、時折速さを見せながらも、全体的には標準以下(何度か入賞、たまに上位入賞程度)の成績に終わるのではないかと予想しています。元々才能はあるので、プロとしては十分活躍できるでしょうが、それがF1で可能かどうかは微妙なところではないでしょうか。

 

 

最後に、これはストロールとは直接関係ありませんが、フェラーリのアカデミー選考には疑問を感じます。才能が最も重視されるのは当然でしょうが、一方でメーカーのジュニア・プログラムには、才能はあるのに資金が足りないドライバーを発掘・支援する意味合いもあるはず。実際、見切りが早いと批判の多いレッドブルのジュニア出身者には、あの時レッドブルのおかげでキャリアを継続できたと感謝するドライバーが多いです。

一方、フェラーリのアカデミーはこれまでに億万長者の息子ストロールや、テルメックスから莫大な資金援助を受けるペレスらを採用しています。才能があるとはいえ、彼らはフェラーリの支援がなくとも、自力でステップアップできるだけの資金力があるはず。メーカーがわざわざサポートする必要があるのか、どうしても疑問ですね。