WEC/LeMans」カテゴリーアーカイブ

【簡単更新】WECスパ、トヨタとノンハイブリッド

 

Rebellion Racing R13 Gibson

Photo: MPS Agency (Sportscar365

先日のWEC18/19開幕戦スパ6Hと、トヨタとノンハイブリッド勢との差について、ツイート風にまとめたいと思います。

 

  • 案の定だったトヨタ圧勝。これまで投入してきた予算&リソースがプライベーターとは桁違いなので、多少の性能調整ではどうなるものでもありません。おまけに直前にEoT (Equivalency of Technology/GTでのBOPのようなもの) がトヨタ有利に緩和されたわけで(LMP1 Non-Hybrids Slowed in EoT Change – Sportscar365)当然の結果でしょう。

続きを読む

メルセデスとポルシェ、DTM/WEC撤退の影響

 

メルセデスが2018年限りでのDTM撤退、ポルシェが今シーズン限りでのWEC LMP1撤退をそれぞれ発表しました。モータースポーツ界に激震が走ったこの二つの出来事の影響について考えてみたいと思います。

続きを読む

2017ル・マン雑感

 

今更ながら、ル・マンの雑感をば。

 

LMP1:ドイツ勢の天下はいつまで続く?

今年もル・マンは日本勢に冷たかったですね……。クルマは91年のマツダ、チームではマツダと04年のTeam GOH、ドライバーとしては95年の関谷さんと04年の荒聖治。自動車大国ながら、ル・マンで総合優勝を達成した日本勢はこれだけです。トヨタが勝てばいずれも更新することになるのですが……。

続きを読む

新LMP2はル・マンで8〜9秒速い?

G-Drive Racing Oreca 07 ( actu-moteurs.com )

スペインのモーターランド・アラゴンで行われたダンロップのプライベートテストによれば、今シーズンのWEC LMP2は新規定マシンの導入により、大幅に高速化しているようです。

LMP2では、昨年まで独自シャシーでの参戦も可能でしたが、今年から禁止され、4つのマニュファクチャラー(オレカ、リジェ(オンローク)、ダッラーラ、ライリー/マルチマティック)からの選択制になりました。ただ結果的にWECにエントリーした5チームはいずれも、オレカ07を2台ずつ選択したため、今シーズンに関しては事実上のワンメイクとなります。

一方、エンジンはこれまでニッサンが圧倒的シェアを誇っていましたが、今年からはギブソン・テクノロジー(旧ザイテック)のワンメイクとなります。

Gibson GK428 LMP2 engines ( Gibson Technology )

ギブソン製4.2リッターNA V8の新エンジン”GK428”は約600馬力を発生、シャシーのダウンフォース増加と合わせ、まだ開発の初期段階にも関わらず、昨年の冬に同じくアラゴンで行われたテストと較べて、1周あたり3秒以上短縮しています(16年=1分25秒4 17年=1分22秒4)

しかも第1&第4セクターでは、既に昨年のLMP1-Lを上回るタイムを記録。バックストレートでもたった0.5秒の遅れしかなく、エアロの進化がコーナリング速度の大幅な上昇をもたらしています。

アラゴンでのラップタイムは、最終的に昨年型LMP1-L (Rebellion R-One AERおよびByKolles CLM P1/01 AER) のわずか0.8秒落ちでした。

Rebellion Racingのチームマネージャー、Bart Haydenは「ここアラゴンでのタイム差は、昨年の我々のLMP1-Lマシンの1秒以下でしかない。新規定によって、今年のLMP2は非常にコンペティティブなシーズンになるだろう」と語っています。

DC Racingのチームマネージャー、Gary Hollandも「昨年までとの違いは非常に大きいよ。タイヤの構造も空力も昨年とは全然違う。パワーデリバリーも昨年までのニッサンとは全く違うね」と言います。

今シーズンJOTA Sportに代わってG-Drive Racingの運営を担う、TDS Racing代表のXavier Combetも「クルマは昨年よりはるかに速い。素晴らしいよ!」とコメント。

「今や我々はLMP1に迫っていると思うよ。ル・マンが楽しみだね」

 

ル・マンでは8〜9秒短縮か

当然ながら1周5.344kmのアラゴンでの3秒短縮は、1周13.629kmのル・マンでは、はるかに大きなタイムアップを意味します。

Signatech Alpineの技術チーフ、Lionel Chevalierによると、ル・マンでは昨年より1周およそ9秒速くなるだろうとのことです。タイムにして、およそ3分27秒辺りではないかと。

ちなみに、昨年のル・マンで最も遅かったLMP1-H車両のタイムは3分22秒8でした。またLMP1-L最速は3分26秒5です。LMP1-HとLMP2の参戦コストを考慮すると、ハイブリッドを搭載し1000馬力以上のパワーを誇るLMP1-Hと、ル・マンで5〜6秒しか違わないというのは、かなりのコストパフォーマンスと言えるのではないでしょうか。

「ラップタイムは大きく向上している。ここ(アラゴン)で3秒も速いなんてすごいことだ。ル・マンでは更に大きく短縮するだろうね。昨年より8秒〜9秒くらい速いのではないかな」とChevalier。

「巨大な進化だよ。ジェントルマンドライバーにとっては、もはや行き過ぎかもしれない。LMP1とLMP2の差は確実に縮まるだろうね」

「チャンピオンシップにとっては良いことだが、それぞれのクラスへのリスペクトも必要だ。ポルシェの後ろで、我々のクルマが昨年より4〜5秒も速く走っていたら、彼らはきっといい気分じゃないだろうね」

 

original:Analysis: How much faster are this year’s LMP2 cars?

official:FIA World Endurance Championship

 

Formula V8 3.5、17年からWECのサポートレースに。新FIA-F2のベース?

Formula V8 3.5が2017年、WECの少なくとも6戦でサポートレースを務めることが発表されました。シルバーストーン、スパ、ニュルブルクリンクの欧州戦に加え、なんとメキシコ、日本、バーレーンと欧州外にまで遠征するということです。

F3.5 to become WEC support series in 2017

この決定に合わせて、2017年のランキング上位3名には、シーズン終了後にバーレーンで行われるルーキーテストにLMP1、LMP2、GTEのいずれかで参加する権利が与えられるとのこと。また現在多くのラウンドを併催しているInternational GT Open/EuroFormula Openとは、今後も提携を継続するようです。

プロモーターであるRPM Racing代表のJaime Alguersuari Sr(元F1ドライバー、Jaime Alguersuariの父)は「ポルシェ、アウディ、トヨタをはじめ、世界的自動車メーカーの面前で、若手ドライバーが実力をアピールできることを大変喜んでいる」とコメント。確かにメーカー等の育成プログラムに選ばれるか、大金を積むしか可能性のないF1より、若手ドライバーにとっては魅力的な選択肢となるかもしれません。

驚いたのは欧州外への遠征です。バーレーンはまだ地理的には比較的近いですが、まさかメキシコと日本まで行くとは全く予想外でした。GP2と較べても小規模なチームが多いだけに、予算は大丈夫なのかと心配になってしまいますが、どうやら昨年RPMを買収したDentsu Aegis Network(名前の通り日本の電通の海外本社)が遠征分のコストを負担するようです。

さて、このニュースを額面通りに受け取れば、ルノーの撤退によって厳しい状況に置かれているFormula V8 3.5が、シリーズの維持・発展のためにWECと手を組んだ、ということになるでしょう。先日のシルバーストーン・ラウンドではエントリーが13台にまで減少しており、シリーズの勢いをなんとか取り戻そうという施策ではあります。

ただ一方で気になるのが、FIA世界選手権との提携という部分です。もしかしたら水面下ではFIA-F2化に向けた交渉が行われているのでは?と邪推してしまいます。

まだ存在すらしていないにも関わらず、スーパーライセンスポイントでは最高点が与えられているFIA-F2ですが、これまでGP2のプロモーターであるブルーノ・ミシェルとジャン・トッドの間で、GP2をベースに創設する交渉が続けられてきました。しかしFIAの影響下に入ることを嫌うバーニー・エクレストンがこれに反対しているようで、交渉は滞っています。エクレストンはFIA傘下に入ると、ルール等あらゆる事項を決定する際に、全てFIA World Motor Sport Councilを経なければならないため、現状通り運営されることを望んでいます(ちなみに現在のGP2のオーナーはF1と同じくCVCです)

下の記事ではFIAがゼロからFIA-F2を立ち上げる方向に傾いているのでは?と推測しています。

FIA could go it alone with new Formula 2 plan amid GP2 impasse – GP2 – Autosport

FIA Single Seater Commission委員長のステファノ・ドメニカリは、まだGP2との交渉は続いているとコメントし、F3.5をベースとする可能性を否定していました。しかしここに来ての、FIA世界選手権との提携ですから、状況が変化した可能性は十分あるでしょう。実際、2009年〜12年に行われていた旧FIA-F2は、FIA-GTやWTCCといったFIA世界選手権のサポートレースとして組み込まれていました。同様にWECに組み込まれても不思議ではありません。

前身時代も含めれば1998年から続いている伝統あるシリーズは、今後どうなるのでしょうか?