【小話】モータースポーツのチーム名いろいろ

 

世界中のいろいろなチーム名を見ているとなかなか面白いですね。

F1で最も多いのは設立者の苗字をとったもの。現在のマクラーレン、ウィリアムズ、ザウバー、ハース。過去のティレル、ブラバム、ジョーダン、ミナルディ、リジェ、ラルースや、チャンピオン経験者が興したスチュワートやサーティース、フィッティパルディ。他にもウルフやヘスケス、コローニなど枚挙に暇がありません。やはりF1というモータースポーツの頂点ともなると、自らの名を冠して自分という存在を誇示したくなるのでしょうか?

F1以外でもジュニア系ならCarlin、Campos、Mucke、Van Amersfoort (VAR)、Jenzerなど。ハコ系だとマンタイやシュニッツァー、ヨーストなどが有名ですし、米国ならペンスキーやアンドレッティ、日本でもナカジマ、コンドウ、ハセミ、戸田など結構存在します。自動車メーカーにもフェラーリ、ポルシェ、メルセデス、ホンダ、フォードなど多々ありますね。

米国で多いのがフルネーム。チップ・ガナッシ、エド・カーペンター、デイル・コイン、AJフォイト、ウェイン・テイラー、マイケル・シャンク、ジョー・ギブスなど実に多い。欧州だとジュニア系とハコ系に多く、ジュニア系ではFルノーの名門Josef Kaufmann RacingやAVF (Adrian Valles Formula)、Teo Martin Motorsportなど。ハコ系だとセバスチャン・ローブ、RML (Ray Mallock Limited)、今季レクサスRC Fを使用するエミル・フレイ、それにトヨタのWRC活動を担っているトミ・マキネンなどがあります。F1のジョーダンも元はエディー・ジョーダン・レーシングでしたね。DTMでメルセデスのオペレーションを担っているHWA (Hans Werner Aufrecht) に至っては、語尾にRacingもMotorsportも付かず、設立者のイニシャルだけという潔さです(笑) 逆に日本ではこのパターンは皆無。サトル・ナカジマ・レーシング (SNR) とか、マサヒコ・コンドウ・レーシング (MKR) なんて、あってもいいようにも思うんですけどねぇ(^^;)

米国では同じくオーナー/出資者の苗字を並べたものもよく見掛けます。レイホール・レターマン・ラニガン、シュミット・ピーターソン、ドレイヤー&レインボールド、スチュワート・ハースなど。昔だとニューマン・ハースやアンドレッティ・グリーンもこのパターンですね。欧州ではパニス・バルデス・コンペティションやブーツェン・ジニオンなど耐久系に多い印象ですが、英国のDouble R=元々はライコネン・ロバートソンもありますね。これも日本ではほぼ見掛けないパターンです。

苗字並列の変異型として、設立者のイニシャルを組み合わせたものがあります。DAMS=Driot Arnoux MotorSport(今はルネ・アルヌーが手を引いてDriot “Associés” Motor Sportの略になってますが)、KV Racing Technology=Kevin “K”alkhoven & Jimmy “V”asser(元はクレイグ・ポロックの”P”も付いて”PKV”でした)、US Racing=Gerhard “U”nger & Ralph “S”chumacher、RP Motorsport=Carlo&Francesco “R”oscio & Fabio “P”ampadoなどなど。日本のTOM’S=Tachi Oiwa Motor Sportもこのパターンです。F1やコンストラクターして有名なマーチも設立者4人の頭文字(Max “M”osley, “A”lan “R”ees, Graham “C”oaker, Robin “H”erd、Mがマックス・モズレーなのは有名)を合わせたものですね。

欧州でも英国に多いのがそのまんまクルマ、技術、スポーツにちなんだ名前。Fortec、Hitech GP、T-Sport、West Tec、P1 MotorsportにEurotechやDynamics、Speedworks。他にもプロドライブ、Mスポーツ、TF Sportなどなど。大陸側ではそれほど見かけないから不思議です。

世界中くまなく見られるのが、何かしらの意味を込めた単語や造語パターン。ハッキリとした確証はないのですが、Arden=シェイクスピア作品の舞台となった英国の森の名前、Trident=三つ叉の矛、Manor=封建時代の荘園・領主の館、Lazarus=聖書のラザロ、Phoenix=不死鳥、Il Barone Rampante=本のタイトル(英語ではThe Baron in the Trees)、インパル=英語のImpulse=衝撃・推進力、Dandelion=たんぽぽ、セルモ=イタリア語で堅実・堅調、ドラゴ・コルセ=イタリア語で”龍レーシング”の意、Gainer=獲得者・勝利者など、意味のわかるものからわからないものまで様々存在します。

チーム名の中でもおそらく相当の変わり種が、日本でお馴染みのスーパーアグリ。苗字でなく名前をチーム名にする、しかも自分の名前に”SUPER”なんて付けてしまうケースは、他に見たことがありません。マクラーレンでなく”スーパーブルース”、ウィリアムズでなく”スーパーフランク”、ペンスキーでなく”スーパーロジャー”と名乗っているようなもので、欧米人にはさぞかし奇異に聞こえたのではないでしょうか?(どんだけ自分好きなんだ?みたいな笑) あるいはアグリを苗字と勘違いしたり、アグリという響きからAgriculture=農業をイメージする可能性もありますね。

もう一つの変わり種がF3000/GP2で活躍したSuper Nova。タキ井上氏が持ち込んだスポンサー=”英会話のNOVA”をそのままチーム名とし、NOVAが離れて以降もそのまま名乗り続けました。まぁSupernova自体に”超新星”の意味があるので決しておかしくはないのですが、非常に珍しいパターンではあります。

チーム名一つとってもお国柄、地域柄があって、なんとも興味深いですね。