マカオF3のエントリー減少について

 

今年も伝統のマカオGP(マカオF3)が始まりました。例年マカオGPは30台前後のエントリーを集める人気のイベントですが、今年はその数わずか22台。FIAは今年の開催にあたって予め上限を28台に設定していましたが、それにも遠く及びませんでした。これは1983年にGPレースがF3規定で行われるようになって以降、最少の台数です。

直接的な原因は、Fortec、Double R、Muckeといった常連チームがエントリーを取り止めたこと。F3は今シーズンからシャシーがF317にアップデートされましたが、FIA F3から撤退した彼らは、昨年まで使われていたF312しか所有しておらず、おそらくはレギュレーションで現行車両 (F317) での参加しか認められないため、マカオもスキップしたものと思われます。いずれもこれまでマカオでは2台ほど走らせていたチームなので、これだけで約6台の減少というわけです。

単純に考えればFIA F3のエントリー減少がそのままマカオにも影響したと言えるのでしょうが、もしマカオGPの成功に多大な貢献をされてきたBarry Blandさんが亡くなったこと、マカオGPがFIAの主催大会になったことが何かしら影響しているとすれば、事態は深刻です。

Barry Bland

Barry Bland (left) (Photo:AUTOSPORT.NL)

インターナショナルF3の一戦に“格下げ”か?

言うまでもなく、F3は現存するフォーミュラレースでは唯一の世界共通規格であり、規格に則ってさえいればどの国のF3にも参加できます(と言っても今では現行車両でのレースはユーロと全日本しかありませんが)。現在は事実上ダッラーラのワンメイク状態ですが、かつてラルトやレイナードなどマルチメイクだった時代でもそれは同様でした。だからこそ特に90年代まではイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本など、各シリーズのドライバーだけでなくチームも集う、文字通り年に一度の“世界一決定戦”が実現したわけです。

ところが先日FIAが発表したインターナショナルF3とリージョナルF3の創設により、今後F3はインターを頂点に差別化されることになります。基本的な性能と安全基準以外、各シリーズそれぞれ独自のシャシー&エンジンになるため、現在のフォーマットでのマカオGP開催はもはや不可能です。

こうなると容易に想像できるのが、マカオのインターナショナルF3最終戦への組み込みです。現在のWTCCと同じ単なるシリーズの一戦に事実上“格下げ”され、出場できるのもインターF3にレギュラー参戦するチーム&ドライバーのみのレースでは、これまでマカオGPが築き上げてきたプレステージは消え、到底世界一決定戦と呼べるものでもなくなります。

どうせならFIA F2からF3、F4、さらにFormula V8 3.5やFルノーなど、あらゆるジュニアカテゴリーからランキング上位者が参加するレースにでもなれば、マカオの名声・価値も維持されるのではないかと思うのですが……。

 

一方で昨年FIAからワールドカップの冠を与えられたGTレースの方は、今年からドライバーがプロに限定されたにも関わらず、7メーカー計20台を集める盛況ぶりです。“グランプリ”の冠もいずれはGTへと移り、GTがマカオのメインイベントになるのかもしれません。

 

モルターラ、国本、ハートレー

エドアルド・モルターラ、国本京佑、ブレンドン・ハートレー (Photo:MACAU NAVI

アイルトン・セナの名を世界に知らしめた優勝から始まり、90年伝説のミハエル・シューマッハーvsミカ・ハッキネンの激闘。また日本人にとっては2001年の佐藤琢磨の日本人初優勝や、06年〜08年の黄金時代(06年小林可夢偉PP、07年トムス優勝+塚越広大&大嶋和也のダブル表彰台、08年トムス2連覇&国本京佑が当時史上2番目の若さで優勝)など、数々の名勝負・名レースを生んだマカオF3。このままフェードアウトしてしまうとすればあまりに残念です。