日本の育成問題(2):欧州と真逆なシステム

先日、BMWは17歳のスウェーデン人Joel Erikssonを育成プログラムに加えることを発表しました。Erikssonは昨年ドイツADAC F4でランキング2位に。現在はMotoparkからFIA-F3に参戦し、これまで3度の表彰台に立つなどランキング8位につけています。( 参照記事 )

さて、では同様のこと、つまりF4やF3で注目されてメーカーにスカウトされるということが、日本でも起こり得るでしょうか? もちろんゼロではないでしょうが、非常にレアなケースだと思います。

日本の場合、メーカーはSRSやFTRSなどのスクールに受講生を募集し、それに合格してスクールで好成績を残したドライバーがスカラシップを獲得、初期からメーカーのサポートを受けてF4なりF3なりに出場するケースがほとんどでしょう。むしろメーカーのサポートがなければF3に出場すらできないのが現実かもしれません。

結果を出したドライバーはその後もサポートを受け続け、そのままファクトリードライバーになることが一般的です。一種の”自家培養”であり、そこに外部から入り込む余地はほとんどありません。現在の日本人GT500ファクトリードライバーは、メーカー間の移籍を除き、ほぼ全員このパターンではないでしょうか?

一方、欧州ではこのようなケースは非常に稀です。マクラーレン(Kevin Magnussen、Stoffel Vandoorne)やレッドブルのようなF1チームにしろ、ルノー(古くはアロンソやグロージャン、現在はOliver Rowland、Jack Aitkenなど)、メルセデス(Paul di Resta、Pascal Wehlein、Robert Wickens、Felix Rosenqvistなど)、BMW(Jorg Muller、Marco Wittmann、Tom Blonqvist、Antonio Felix Da Costaなど)、アウディ(Edoardo Mortara、Laurens Vanthoor、Nico Mullerなど)、ポルシェ(Brendon Hartley、Earl Bamber、Nick Tandyなど)のような自動車メーカーにしろ、FルノーやF3で目に止まったドライバーをスカウトする、あるいはセレクションを通して育成ドライバーを選抜するのが当たり前です。ハミルトンやLance Strollのようにカート時代からサポートされる例外もありますが、メーカー自らスクールに関与して、海のものとも山のものともわからぬドライバーをサポートすることなど、ほぼありません。ある意味、リスクが少なく、非常に合理的とも言えますよね。

更にはあるメーカーの育成プログラムから別メーカーの育成プログラムに移行するケースさえあります。

Mirko Bortolottiというイタリア人ドライバーがいます。イタリアF3や短期間復活開催されていたFIA-F2でチャンピオンを獲得するなど、実力あるドライバーですが、彼は当初レッドブルのサポートを受けていました。そこをクビになった後、今度はフェラーリのドライバー・アカデミーに所属、それも外された後はランボルギーニの育成プログラムに加わり、現在は同社のファクトリードライバーとしてイタリアGTなどに参戦しています。日本で言えばHFDPからTDPに移り、現在はニッサンで走っているようなものですね。こんなこと日本ではまず起こり得ないでしょう。

自分としては欧州メーカーのやり方の方が、はるかに公正で健全だと思います。各種国際大会などでの成果という意味でも、欧州式に軍配が上がるのではないでしょうか。あくまで自家培養に拘る日本メーカー(特にホンダ)を見ていると、苛立ちさえ覚えます。これでは日本からF1ウィナーが出ることなど、まだ数十年は無理だと思わざるを得ません。