2016 GP3プレビュー

今シーズンのGP3最大のトピックと言えば、初めて”完全”な新車が登場することでしょう。2013年にも一度新車は導入されましたが、10年型のモディファイ&エンジン出力を増加(約220→400馬力)させたものだったので、全くの新車は初めてとなります。ジュニアフォーミュラに精通するRoberto Chincheroさんのリポートによると、2年目のドライバーは昨年までのデータが全く役に立たないと言っているとのことで、新チームやルーキーにとっては最適なタイミングかもしれません。

またチーム面では初年度から参戦してきたCarlinとStatus GPが撤退し、新たにDAMSが加わりました。当初はVirtuosi UKも参加予定だったのですがエントリー取り消しとなり(予想通り?)、チーム数は過去最少の7チームとなりました。それに伴いオーガナイザーはエントリー減少を避けるため、これまで各チーム最大3台だったエントリーを4台まで拡大。ART、Trident、Koiranenがこれを適用し、結果24台と昨年とほぼ変わらない台数を確保しました。

ところで格式的にGP3と同格で競合するF3はこの辺の規制が緩く、Carlinのように6台も擁するチームもあれば、シングルエントリーのチームもあったりとこれまでは多様性があったのですが、昨今の経済事情の反映とFIAの曖昧な運営により、欧州シリーズではこちらも1チーム4台まで、僅か7チームのエントリーと、結果的にGP3と同じ形になりました。差別化要素が益々なくなったわけで、なんとも皮肉なものです。

シリーズは今年もARTが軸になるのは間違いないでしょう。過去6年間で5度のチームタイトル、3度のドライバーズタイトルという”常勝”チームは、今年もCharles Leclerc(昨年FIA-F3 4位、マカオGP2位)、Nyck de Vries(昨年FR3.5 3位)、Alexander Albon(昨年FIA-F3 7位)、そして福住仁嶺という、ルーキーとはいえ実績も将来性もある強力なラインナップを敷きました。初欧州の福住もテストではチームメイトと同等のタイムを記録するなど、昨年の松下信治同様、初年度から期待が持てます。

個人的に特に注目なのがCharles Leclercです。カート時代はマックス・フェルスタッペンのライバルであり、フェルスタッペンが一足飛びにF3→F1へと進んだ一方、彼はFルノー2.0でじっくり走り込み、昨年フェルスタッペンの後釜としてVan Amersfoortに加入しFIA F3に参戦。シーズン半ばまでチャンピオンシップをリードする活躍を見せました。残念ながら相性抜群だったエンジニアが家庭の事情でシーズン途中でチームを離脱してしまい、以降成績が下降しましたが、マカオでは見事に復活し”大ベテラン”Felix Rosenqvistに次ぐ2位を獲得。今年はFDA(Ferrari Driver Academy)にも加入しました。故ジュール・ビアンキの親友&後輩であり、マネージャーも同じニコラ・トッド。そしてFDA加入で故ビアンキが果たせなかったフェラーリ入りをこの先成し遂げるのではないかと、個人的に期待しています。

対抗馬は昨年のFIA-F3で最後の最後にLeclercをうっちゃって3位となったJake Dennisでしょうか。ArdenもARTほどではないにせよ、ドライバーズタイトルを2回獲得するなど、GP3では安定した成績を残しています。彼の実力も合わせると、今年もタイトル争いに絡んでくるのは間違いないでしょう。

昨年Luca Ghiottoが5勝5PP9FLと大ブレイクしたTridentは、2年目のAntonio Fuocoがエース。彼もFDA所属であり、新加入のLeclercには負けられないところですが、速いは速いもののムラがあってリザルトが安定しない傾向があるのが不安要素。案外Artur Janoszの方が上に来そうな気もします。

毎年勝利をあげているKoiranen GPですが、彼らは現在一チームとしての参加よりも、SMP F4とスペインF4の運営に注力しているような感じがします。ラインナップ的にも強力とは言い難く、厳しいシーズンになるかもしれません。

CamposのAlex Palouはダークホース。昨年は決勝で不運に見舞われることも多くランキングこそ10位だったものの、予選では常に上位に顔を出す速さを見せていました。最終戦では初優勝&FLも記録し上り調子にあります。チーム力次第でトップ5に入る力はあると思いますね。

Jenzerはかなり厳しいでしょう。いかんせん今年の7チームの中では規模が小さすぎます。優勝経験のある新加入のOscar Tunjoに期待でしょうか。

最後に新規参入の強豪DAMSですが、ルーキー3人(うちFルノー2.0上りが二人)というラインナップを見ても、今年は学習の1年と割り切っているのでは? 撤退したFR3.5でも1年目は学習し、2〜3年目に連続チャンピオンという結果を残しており、今年いきなりタイトル争いという青写真は描いてないと思います。それでも前述の通り、クルマが全く新しくなるため参入のタイミングとしては抜群。時に上位をかき乱し、1〜2勝しても不思議ではないでしょう。